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なんだか集中できない、忘れっぽい…/医師に聞いた「更年期、こんな時どうすれば?」(2)

MENO MAGAZINE編集部

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「なんだかソワソワして、家事や仕事に集中できない」「人の名前が出てこない」――更年期を迎え、そんな症状に悩まされていませんか。「もしや若年性認知症かも?」と考え、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかしその症状、実は女性ホルモンの減少が影響している可能性も。今回は、成城松村クリニック院長の松村圭子先生に、「集中力の低下」や「もの忘れ」についてお話を聞きました。

なんだか集中できない、もの忘れが激しくなった…

――更年期を迎えたみなさんから、「仕事に集中できなくてミスをしてしまった」「忘れっぽくなった」という声を多く聞くのですが、先生の患者さんにもそういった方はいらっしゃいますか?

松村先生(以下、松村):多いですね。あるデータでは、40代以上の半分ぐらいの人が「もの忘れが気になる」という結果もあるんですよ。私自身も、記憶力にはすごく自信があったのに、40代後半ぐらいから低下を自覚してショックを受けたことがあります。

――それは、私も心当たりが(汗)。そういった症状は、年齢によるものでしょうか?

松村:年齢によるものなのか、それとも更年期によるものなのか、そこが問題ですよね。更年期に起こる症状は、女性ホルモンのエストロゲンの減少が関係しています。脳の神経伝達物質はエストロゲンと密接に関係していて、エストロゲンが急激に減ることで、神経伝達物質の働きに変化が生じて脳が混乱してしまうのです。脳が混乱すると、自律神経をうまくコントロールできなくなり、さまざまな症状につながります。

――具体的には、どんな症状があるのでしょう?

松村:「名前が出てこない」っていうのは、みなさん、よくおっしゃいますね。でも、ちょっとしたきっかけで思い出すんですよ。だから、「昨日の夕飯、何食べたんだっけ?」ということはあっても、食べたこと自体忘れてしまうということはありません。認知症だったら、食べたこと、つまり行動自体を忘れてしまいます。そこは更年期によるものと認知症の大きな違いですね。ところで、セロトニンってご存じですか?

――幸せホルモンっていわれるものですよね?

松村:そうです。実は、更年期になるとエストロゲンの減少と併せて、セロトニンも減るんですよ。セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質の一つで、幸福感だけではなく、「集中力」にも関わるもの。減少すると集中力が低下したり、うつ症状を引き起こしたりします。

――それは知りませんでした。でも、いままで思い出せたものが思い出せなくなったり、集中力が続かなくなったりって、自覚できるだけにショックを受けそうです。

松村:そうですよね。いままでできたことができなくなることに、ショックを受ける人はとても多いです。「こんなはずじゃない」とか、「もっとできるはず」って自分を追い詰めてしまうんです。でも、若い頃とまったく同じスピードで、同じように(物事をこなす)というのは難しいこと。少し力を抜いて、「(そういう時期なんだから)まぁ、いいか」と、いい意味で受け入れる。それが更年期をしなやかに乗り越えるコツだと思いますね。

週3回のウォーキング、1日3杯のコーヒーが効果的

――ところで、更年期の「集中力の低下」や「もの忘れ」って、改善できるのでしょうか?

松村:女性ホルモンの急激な減少によって起こる症状の一つとして考えると、ホルモン補充療法や漢方治療などが有効な場合もあります。これらは、集中力の低下やもの忘れだけでなく、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)やイライラ、眠れない、めまいなど、いわゆる更年期に起こるさまざまな症状に当てはまります。ただ、集中力の低下やもの忘れといった症状は、一過性といえなくもありません。

――えっ、自然と元に戻るということですか?

松村:こういった症状って、加齢によって大なり小なり、誰にでも起こるものですよね。その影響がどのぐらい出てくるかにもよります。「更年期特有」というのは、エストロゲンが急激に減ることで、脳がパニックを起こして誤作動が起きている状態。だから、次第にその状態に「脳が慣れてくる」ことで、よくなる方が多いですね。

――それはうれしいですね。とはいえ、「慣れ」をひたすら待つ以外に、何かやっておくといいことってありますか?

松村:実はたくさんあるんですよ! まずはワーキングメモリ(作業記憶)を鍛えること。これは料理や計算、予定を立てるなど、日常生活や仕事などを支える能力ですが、ワーキングメモリを司る脳の前頭前野は、使えば使うほど低下を抑えられるんです。まずは、脳の血流をよくするために、週3回、20分ほどウォーキングを行ってください。脳の前頭前野は血流がすごく豊富。逆にいうと、血流が悪くなると衰えが早くなるので、血流を促して活性化してあげるのです。また、セロトニンは日光を浴びると分泌されるので、日の光を浴びながらウォーキングをするとさらに効果的です。それから、会話も大切。人とコミュニケーションをとることが脳への刺激となって、ワーキングメモリが鍛えられます。

――運動と会話、できそうな気がします! 食生活でできることはありますか?

松村:例えば、飲み物であればコーヒーがおすすめです。コーヒーを毎日1杯以上飲む人の方が、飲まない人と比べて認知機能の低下が少ないという研究もあるほど。砂糖を入れずに、1日3杯ぐらいまで飲むといいですよ。また、食事ではビタミンDを含む食材を摂ることもおすすめします。更年期の健康を保つ対策にもなります。

やりたいことを見つけて、更年期を謳歌しましょう!

――ところで、先生も記憶力の低下を自覚したとのことですが、それって更年期のせいだったのでしょうか?

松村:5年前、体調を崩してしまって、もう診療するので精いっぱいという時期があったんです。調べてみると病気ではないんだけれど、倦怠感が強かったり、食欲もまったくわかなかったり。これは更年期かなと思うようになって。でも、それをきっかけにライフスタイルを見直して、いまは更年期を謳歌していますよ(笑)。

――それは心強いですね。どんな変化があったのでしょう?

松村:その頃の自分は栄養の知識はありましたが、自炊はまったくしていなかったんです。自炊ゼロどころか、マイナス100ぐらい(笑)。ただ、栄養素については詳しいから、メニューを組み立てることはできて、患者さんにも「健康になりたいならやるように」ってアドバイスしていたんです。料理の大変さとか、実際にできるかどうかとか、考えていませんでした。

――毎日自炊するって、なかなか大変ですもんね。

松村:でも、体調が悪くなったことをきっかけに、料理をするようになりました。それまでは調味料すら持っていなかったんですが、やってみたらはまってしまったんです。そこから栄養に関する資格をとったり、さらに食に関する勉強を深めました。今では、いかに手軽に続けられて栄養バランスのとれた美味しい料理ができるか追求するように。

――それはすごい!!

松村:料理の他に、最近はファイナンシャルプランナー2級の資格も取得しました。お金に対して知らないことが多かったので、不安になって勉強を始めたんです。もちろん、記憶力は若い頃より格段に落ちていますが、それも年を取るのはそういうことなんだなと思うだけで、落ち込む必要はありません。何より学ぶことが楽しくて、楽しくて。そうしているうちに、自分のやりたいことが分かるようになりました。前よりもっと元気になったし、これまでの人生でいまがいちばんハッピーかも。

――なんだか年を取るのが楽しみになってきました。ところで、「更年期のつらさを周りに理解してもらえない」という声も多いのですが、こういった方はどうしたらいいのでしょう?

松村:更年期の症状で悩まされると、自分の価値観が本当に崩れてしまう人もいます。だからこそ、更年期は”幸年期”ととらえて、自分に優しくなる、これまで抱えてきた荷を下ろす時期だと考えましょう。すべて完璧にこなさなきゃと思うとつらくなってしまいます。たまには休んで家事代行を利用する、パートナーに家事をやってもらうというのもいいでしょう。アウトソーシングすることを悪いことと考えず、周りに任せるようにしていけるといいですね。

 


松村圭子(まつむらけいこ)
日本産科婦人科学会専門医 成城松村クリニック院長
若い世代の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。著書に、「これってホルモンのしわざだったのね」(池田書店)他多数。


 

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム)

 

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