ホットフラッシュの主な症状と対策

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ホットフラッシュは、多くの女性が経験する更年期の代表的な症状の一つです。でも、ほかの症状と同じようにそのあらわれ方は、一人ひとり違います。自分で判断したり我慢しないで、まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。
ホットフラッシュはどんな症状?その原因は?
気温が高いわけでもないのに、急に熱さを感じて顔がほてる、のぼせて赤くなる、汗が出る、ドキドキする…そんな経験はありませんか。それは更年期の代表的な症状であるホットフラッシュかもしれません。ホットフラッシュは、日本人女性の4割から7割が経験する更年期の代表的な症状です。とはいえ、ホットフラッシュのあらわれ方は、次のように一人ひとり違います。
ホットフラッシュが起こる仕組み
- 症状があらわれる時期:閉経の少し前からあらわれる。2年ほどで症状が落ち着いたり、10年以上続くこともある。
- 具体的な症状:顔だけでなく体全体に熱さが広がることもある。そのため、「のぼせ」や「ほてり」、「体が熱くなる」など、人によって表現もさまざまである。熱さの他にも後から冷えを感じたり、熱さ以外にめまいや嘔気を経験することもある。
- 症状が続く時間:数分~1時間ほどと幅がある
では、ホットフラッシュはどのように起こるのでしょうか。ホットフラッシュは、女性ホルモンであるエストロゲンの働きが関与していると言われています。
- エストロゲンは卵巣で分泌されます。そして、その分泌の指令は、脳の中にある視床下部が、下垂体を介して出しています。
- 更年期になると卵巣機能が低下するため、下垂体が卵巣にエストロゲンを分泌するよう指令を出しても、卵巣は十分な量を分泌することが難しくなります。
- 下垂体はエストロゲンの分泌を促す指令を出しているにもかかわらず、身体はエストロゲンの量が足りない状態になります。
- 体内のエストロゲンの量が足りないと認識した視床下部は、さらに下垂体を介して卵巣に「エストロゲンを分泌せよ!」と指令を出し続けます。
- 視床下部は、指令を出し続けても体内のエストロゲン量が増えない状況が繰り返されることで、やがて、指令を出し続けることに疲れ、ストレスを感じてしまいます。
- 視床下部は自律神経もコントロールしているため、このストレスが自律神経に影響します。自律神経が乱れると、ホットフラッシュのようなさまざまな症状があらわれてくるのです。
ホットフラッシュの対処法は?
ホットフラッシュが起こる仕組みをお伝えしましたが、ほてりや大量の汗をかくといった症状があらわれる別の原因もあります。
更年期のホットフラッシュと似た症状があらわれる原因として、服用しているお薬が影響する場合もあります。また、別の疾患である可能性もあります。身体に変化を感じたら、自己判断せずに、かかりつけ医や婦人科を受診しましょう。
ホットフラッシュと診断されたら、お薬を使った治療(薬物療法)を始めます。薬物療法には、更年期で分泌が少なくなったホルモンをお薬で補うホルモン補充療法や、漢方薬による治療があります。
ホットフラッシュのセルフケアの例
イラスト/たがやす共創パートナー 田中友美乃
薬物療法以外にも、日常生活のなかでできることもあります。症状を自覚したときは深く腹式呼吸をして呼吸を整え、リラックスするよう心がけてみてください。また、ホットフラッシュは自律神経が乱れて体温調節がうまくできない状態のため、熱い飲み物や、アルコール、カフェインを含む飲み物、スパイシーな食べ物などのほかにも、ちょっとしたストレスがきっかけになることも覚えておいてください。例えば、外出して人と会うという日は、朝のコーヒーをハーブティーに変えてみる、服装は熱がこもりにくい素材を選ぶ、ランチは刺激物を避けるなど、いつもの生活の中で少し工夫し、準備することで心構えもできます。それでも、ホットフラッシュが起こってしまう状況はありますよね。汗対策のインナーを着る、タオルハンカチや発熱を冷ますシートを持ち歩くなど、事前に対策しておくといいですね。その他、運動不足や不規則な食事、喫煙などもホットフラッシュのきっかけになるので、生活習慣を見直してみるのもいいかもしれません。
「更年期のホットフラッシュは、多くの女性が経験するものだから」と自己判断して、辛い状態を我慢しないでくださいね。
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監修
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県地域産科婦人科学講座
教授 寺内 公一 先生